弱いからこそ温かな縁を紡いでゆく。
加地るり子/カワイチ株式会社
〈プロフィール〉
愛媛県生まれ
地元の高校を卒業後神戸の大学へ進学
大学卒業後、地元川之江市(現:四国中央市)へ戻り、小学校で3年間講師として勤務
カワイチ(株)加地氏との結婚を機に講師を退職し家業に従事
PTAの役員活動や人権擁護委員として、また美結会(みむすかい/伊予水引金封協同組合)など精力的に地域活動、ボランティア活動も行っている
Q.加地さんのライフワークをお聞かせ下さい。
今の世の中って、LineとかフェイスブックとかのSNSが色々あってそういう繋がりもいいのだけど、生身の繋がりで一緒にしようっていうのとか、人と人とのご縁っていうのはかえって面倒とされる時代なのかなっていう気がしますね。地域性にもよるのかな?色んなものが便利になる反面、そういう繋がりが希薄になってるっていうか。
例えば高齢者の方はデイサービスとかに行かれますよね。そうすると昼間は居ないですね。で、また夕方に帰ってくる。そういうサービスが発達したおかげで家族は安心・安全の面ですごく助かってるし、すごく大事なことなんだけど、時として繋がりがちょっとバラバラになってる感じがして。昔だったらご近所さんと会ったら話ししたり、みんなで助け合ったりっていうのがあったけれど、そういう地域のコミュニティの中での繋がりというか、温かい関係がだんだん無くなってきてるんじゃないかなっていうのはありますよね。だから人が個々で単体で色々と動きやすい反面、何かの時に助けにくい。あんまり人と関わったらいけないんじゃないかっていうところを感じたり。子供が泣いたりしよって、もしかしたら虐待じゃないんかって思って、昔だったら駆けつけたりしよったことも、今はそれより警察に言った方がいいなとか。今一歩家庭の中には入れない。便利な社会なんだけれどそういうところの繋がりっていうのは無いかなって。学校の役員や人権擁護委員などの活動の中でそういう問題もいっぱい出てきたりするので。お互いに会って話すと解決することも中にはあるし・・・。
例えば相談できる施設や組織がありますっていってもそこに出向いて行ける人は元気な人。ほんとに問題を抱えている人は行けない。ダイヤルを廻せない。そんな人がどれだけこの世の中におるかと思って。朝ごはんを食べてこない子供がいる。悩んでいる大人がいっぱいいる。でも元気そうな素振り、大丈夫そうな素振りをしてる。そういう人たちを勇気づけられる社会になったらいいなって。なんかちょっと落ち込んでる人がいたら「大丈夫?」って声を掛けてあげたい、逆に声を掛けてもらいたいですよね。自分も弱い人間、お互いにみんな弱い所があるから、自分が元気で強い心を維持できている時は誰かを助けてあげたいし、自分がちょっとしんどいなって思うときは誰かに助けてもらいたい。基本的なことなんだけども、人間って温かいから、その温かさをもっともっとみんなに伝えてあげたい、伝えてもらいたい。
人の温もりっていうのは絶対に作れない温もりだと思うので。
〈インタビューを終えて〉
加地さんはインタビュー中何度も「縁」や「繋がり」という言葉を口にした。
加地さんは相手の言葉を「ほうじゃなぁ」「そうなんよ」「そうそう」と愛媛独特の柔らかなイントネーションで頷き、必ずいったん受け止める。
相手に丁寧に向き合うことが「縁」というループの中で自分に巡ってくることがわかっているのだと思う。それが具体的にイメージできる人なのだと思う。
加地さんのイメージする縁はそっくりそのまま温もりなのかもしれない。
加地さん自身の温もりは具体的なイメージを通して周囲にも染み込んでゆくだろう。
そして縁の中で伝染していくといいなぁと思う。
インタビュアー 合田裕子(じゃぱかる)